「鉄筋コンクリートは防音性が高いと聞くけれど、それでも隣の音が気になることがある…」
そう感じたことはありませんか?
鉄筋コンクリート造(RC造)は防音性に優れているとされますが、構造や壁の厚み、間取りの違いによって、その効果は一律ではありません。
「構造の理解」「内見時のチェックポイント」「音トラブルの原因と対策」「住人や専門家の声」「賃貸でもできる工夫」の5つの視点から、具体例やデータを交えて紹介します。
RC造の物件選びで後悔しないために、ぜひ参考にしてください。
安心して楽器が演奏できるお部屋を探したい方は、こちらから条件に合った物件をご覧ください。
鉄筋コンクリートの防音性を知るための3つの基本情報
「RCなら安心」と思っていたのに、意外と生活音が気になったことはありませんか?構造や性能の違いを理解すれば、防音性の高い物件を選べるようになります。
この記事では、RC造の防音性について、以下の3つの観点から解説します。
- 音の伝わり方とRC構造の特性
- 他の構造との違い(木造・鉄骨造との比較)
- 防音性能の目安となる数値や基準
鉄筋コンクリートの構造と音の伝わり方
RC造は、鉄筋の骨組みにコンクリートを流し込んで作られた建物構造を指します。壁や床には厚みと重さがあり、頑丈でしっかりした作りが特徴です。
音の伝わり方には、主に2つの種類があります。
ひとつは空気を伝わる「空気伝播音」、もうひとつは壁や床などを伝わる「固体伝播音(振動音)」です。
RC造は空気伝播音に対しては非常に高い遮音性を発揮します。
ただし、固体伝播音については、構造形式や床に使われているコンクリートの厚さ(スラブ厚)、施工の質などによって差が生じるため、物件によって静かさに違いが出るのが実情です。
木造・鉄骨造との防音性の違い
RC造には物件ごとに防音性能の差がありますが、それでも木造や軽量鉄骨造と比べると、遮音性は圧倒的に高いとされています。
というのも、鉄筋コンクリートは壁や床に十分な厚みと重さがあり、話し声や足音といった生活音が伝わりにくく、静かな住環境を実現しやすい構造だからです。
一方で、木造や軽量鉄骨造は構造材が軽く、壁や床に十分な厚みがないため、音が響きやすい傾向があります。
何デシベルまで防げる?防音性能の目安
防音性能は「D値」「L値」「dB(デシベル)」といった指標で表されます。まずは、それぞれが示す意味と特徴を確認してみましょう。
D値・L値・dBの意味と特性
指標 |
意味 |
数値の特徴 |
D値 |
壁を通る音の聞こえにくさ(遮音性能) |
数値が大きいほど防音性が高い |
L値 |
床を伝わる衝撃音の伝わりにくさ |
数値が小さいほど防音性が高い |
dB(デシベル) |
音そのものの大きさを示す単位 |
数値が大きいほど音が大きい |
一般的に、RC造の壁はD-50〜D-60の遮音性能を持つとされています。
たとえば約90dB(ピアノ演奏レベル)の音でも、壁を隔てることで30〜40dB(ささやき声程度)にまで軽減される計算です。
一方で、木造住宅ではD-35〜D-40程度が一般的で、RC造と比べて遮音性はやや劣ります。
参考までに、RC造の壁を通したあとの音量や、どの程度気になるかの目安を以下の表にまとめました。
音の大きさと鉄筋コンクリート造の遮音効果の目安
音の種類 |
音量(dB) |
RC造の壁通過後の目安 |
感じ方の例 |
普通の会話 |
約60dB |
約20〜30dB |
ほとんど気にならない |
掃除機 |
約70dB |
約30〜40dB |
やや聞こえるが気にならない |
ピアノ演奏 |
約90dB |
約40〜50dB |
少し聞こえるが問題ない程度 |
このように、RC造は特に空気伝播音の低減に優れているため、静かな住環境を求める方にとってはとても有効な構造といえるでしょう。
楽器演奏・歌唱OKな物件を選ぶための3つのポイント
「楽器可」とあっても、すべての楽器が自由に使えるとは限りません。物件ごとに異なるルールがあります。
快適に演奏や歌唱を楽しむために、確認すべき3つのポイントを見ていきましょう。
- 「楽器可」と「相談可」の違い
- 楽器演奏に関する細かなルール
- 歌や声出しができる物件かどうか
「楽器可」「相談可」物件の違いとは
不動産サイトで見かける「楽器可」と「楽器相談可」は、似ているようで意味が異なります。
「楽器可」物件は、原則として楽器の使用が認められており、演奏を前提とした構造になっていることが多いのが特徴です。防音性が高く、近隣住戸との距離も配慮されているなど、楽器演奏に適した環境が整っています。
一方で「楽器相談可」はその名の通り、相談次第で可否が決まる物件です。全ての楽器が許可されるわけではなく「電子ピアノはOK」「アコースティックピアノはNG」など、多くの場合で条件がついています。
事前に許可条件を明確にしておくことが大切です。
物件ごとに異なる演奏ルールを確認しよう
たとえ「楽器可」物件でも、演奏できる時間帯や曜日、使用可能な楽器には制限が設けられている場合が多くあります。
たとえば「10:00〜20:00まで」「休日は演奏禁止」「1日あたり○時間以内」など、住民同士のトラブルを防ぐための制限が一般的です。
また、演奏可能な楽器の種類が限定される場合もあります。たとえば「電子楽器のみ」「音量調整ができるもののみ」などです。
物件独自のルールは、契約前に必ず確認しておきましょう。
歌や声出しに対応した物件はある?
さらに「楽器可」とされる物件でも、歌や声出しが禁止されているケースは少なくありません。
歌唱や発声練習などは、音量や音の性質(周波数)によって近隣住民の不快感を招きやすく、トラブルにつながりやすいとされています。
そのため、歌や発声を前提とした利用を希望する場合は「声出し可」や「声楽相談可」と明記された物件を選ぶことが必要です。
中には、防音室付きや防音ブース設置が許可されている物件や「24時間声出しOK」と明記された防音専用マンションも存在します。
こうした物件は「防音マンション」「サウンドプルーフ」「ミュージション」などのキーワードや、カナデルームのような専門サイトで探すと見つけやすいでしょう。
鉄筋コンクリート造なのにうるさい?音が響く原因と構造的な落とし穴
「RC造なのに、なぜか音が気になる…」
そんな悩みの背景には、構造や施工に起因する「防音の落とし穴」があるかもしれません。
この記事では、RC造でも音が響く理由や注意点を以下の視点から解説します。
- 防音性能に差が出る構造の特徴
- 上下・隣室から音が伝わる要因
- 意外と多い音の落とし穴
構造の違いで防音性に差が出る理由
RC造でも、防音性能は建物の設計や仕様によって異なります。
壁が薄く音が伝わりやすい物件もあれば、しっかり遮音できる造りのものもあるからです。
なかでも、スラブ(床)の厚みは重要なポイントで、180mm以上あれば十分な効果が期待できます。一方、150mm程度しかない物件も多く、特に築年数が古いものやコストを抑えた建物は注意が必要です。
このように、RC造だからといってすべてが高性能とは限らないため、図面や物件情報から構造や仕様を確認しておくと安心です。
上下階や隣室から音が伝わる原因とは
構造だけでなく、生活音の種類や暮らし方によっても音の伝わり方は変わります。
小さな子どもの足音、深夜の洗濯機、家具を動かす音などは響きやすく、特に時間帯によってはトラブルの原因になりやすい音です。
また、楽器演奏や在宅ワークでの通話・会話も、隣室や上下階に伝わりやすくなります。
鉄筋コンクリートでも油断できない?意外と多い音の落とし穴
意外な場所から音が伝わることがあります。たとえば、換気ダクトや配管スペースなどの隙間です。
壁の厚みが十分であっても、こうした設備の隙間を通じて音が伝わるケースは珍しくありません。
さらに、築年数の経過によるコンクリートの劣化や、スラブ厚不足・防音材未使用といった施工不良が原因で、防音性能が低下していることもあります。
防音工事の現場でも「RC造でも施工不良があると音が響きやすい」という声は多く、実際に構造上の問題が見つかる例も報告されています。
防音性の高い賃貸物件を見抜くための3つの視点
内見や契約前の確認で、防音性の高さをある程度判断できます。次のような観点からチェックすることで、後悔のない物件選びにつながります。
- 壁・床・窓の構造を内見で確認
- 管理会社・大家への質問で得られる情報
- 間取りや周辺環境から予測できる音のリスク
内見で確認したい「壁・床・窓」の防音性の手がかり
防音性に影響する壁・床・窓は、内見時にできる範囲で確認しておきましょう。
たとえば壁をノックして「コンコン」と軽い音が返ってくる場合は、石膏ボードだけの仕切りかもしれません。防音性が不十分な可能性があります。
床材も、踏んだときにフワフワとする場合は、遮音性の低いクッションフロアの可能性があります。足裏の感触や仕上げ材をチェックしましょう。
足裏の感触や床材の仕上げを手がかりに、おおよその遮音性や施工状況を把握しておきましょう。
また、窓が二重サッシや防音ガラスであれば、外部騒音を大きく軽減できます。
ただし、築年数が古いRC造では、コンクリートの厚みが十分でも、サッシの気密性不足やスラブ厚の不足で音が響くことがあります。
構造だけでなく、リフォーム履歴や建物の管理状態もあわせて確認すると安心です。
管理会社や大家に聞いておきたい防音に関すること
防音性を重視するなら、内見時に管理会社や大家へ積極的に質問しておきましょう。次のような確認項目を押さえておくと、実際の音環境やルールの有無が把握しやすくなります。
- 音に関する問い合わせや注意の履歴はありますか?
- 上下階の入居者層について(例:子どもの有無、楽器使用など)、わかる範囲で教えてもらえますか?
- 壁や床に、防音施工されている箇所はありますか?
- 「楽器相談可」の場合、演奏ルール(時間帯・楽器の種類など)はどのようになっていますか?
とくに「楽器相談可」の物件では、演奏ルールを文書で確認するのがおすすめです。あいまいなままだと、入居後のトラブルにつながる可能性があります。
また、質問への答え方から管理会社の対応姿勢も見えてきます。丁寧かつ具体的に答えてくれるかどうかは、入居後のサポート体制を判断する重要な材料です。
間取りと立地でわかる「音リスク」の見極め方
間取りや立地によっても、防音効果には差が出ます。
たとえば、角部屋や最上階は接する住戸が少なく、音の影響を受けにくい傾向があります。隣室との間に収納や水回りがある配置も、生活音の遮音に効果的です。
一方、寝室が隣戸のリビングと隣接している間取りは、テレビや会話の音が響きやすく注意が必要です。
さらに、交通量の多さ・近隣建物との距離・夜間の静けさなど、外部の音環境も確認しておきましょう。
内見時には、間取りと周辺環境をあわせてチェックするのが理想です。
可能であれば朝・昼・晩それぞれの時間帯に訪問し、難しい場合は交通量が多い時間や夕方以降を狙うと、実際の音の印象をつかみやすくなります。
賃貸OK!手軽にできる防音対策アイデア
賃貸住宅では大がかりなリフォームはできません。そんなときは、手軽に取り入れられる対策から始めてみましょう。
生活音によるストレスを減らすためには、できる範囲での工夫が重要です。
ここでは、賃貸でも実践しやすい防音対策を2つご紹介します。
- 賃貸OKな防音グッズの活用法
- DIYでできる音対策の工夫
日常生活の音のストレスを軽減するためにも、自分でできる範囲から対策してみてください。
置くだけ・貼るだけの防音グッズ活用法
簡単に設置・撤去できる防音グッズを活用すれば、室内の音漏れや外からの騒音を軽減できます。
たとえば、床に防音マットやジョイントマットを敷くと階下への衝撃音を抑えられ、厚手のラグなら防寒対策も兼ねられます。
遮音・遮光カーテンは窓からの音の出入りを減らせるため、道路沿いや線路近くの部屋に有効です。
また、貼ってはがせる吸音パネルやウレタン製ボードを壁に取りつければ、室内の反響や声のこもり感を抑えられます。
最近はデザイン性の高い商品も多く、インテリアに馴染みやすいのも魅力です。さらに、100円ショップやホームセンターでも入手でき、低コストで始められます。
家具の配置やすき間対策でできる簡単DIY
賃貸でも、ちょっとした工夫で防音性を高められます。
代表的なのが、大型家具を壁際に配置する方法です。本棚やクローゼットを隣室との境界壁に置くだけで、音の伝わりを抑えられます。
また、ドアや窓に貼る「すき間テープ」も効果的です。玄関ドア用の防音テープなら工事不要で、外からの音を軽減できます。
さらに、段ボールや発泡スチロールで作る即席の防音ボックスを使えば、楽器やスピーカーの音漏れ対策にもなります。
いずれも手軽に試せる方法なので、まずは気になる場所から少しずつ取り入れてみましょう。
まとめ|鉄筋コンクリートでも油断は禁物。音に悩まない住まい選びを
鉄筋コンクリート造(RC造)の物件は、防音性が高いとされる構造です。
しかし実際には、構造の仕様や築年数、間取り、窓の気密性など、さまざまな要素によって音の伝わり方は変わります。
そのため「RC造だから安心」とは言い切れません。物件選びの段階から、防音性を丁寧に見極めることが大切です。
壁・床・窓の構造チェックに加え、管理会社や大家へのヒアリング、間取りや周辺環境の確認も欠かせません。
特に、楽器の演奏や音の出る趣味がある方は、住民層・演奏ルール・防音施工の有無など、事前にしっかり確認しておきましょう。
さらに、入居後も防音アイテムやDIYによる対策を取り入れることで、生活音や外部騒音のストレスを軽減できます。
「できるだけ静かな住まいで、気兼ねなく暮らしたい」
そう感じたら、防音設計に特化した物件を扱う【カナデルーム】で探してみるのも一つの方法です。
あなたに合った静かな暮らしを、ぜひ見つけてください。