「グランドピアノの防音はどれくらい必要?」
「マンションでも21時前後にグランドピアノを弾けるようにしたい」
そんな不安に答えます。
この記事でわかることは3つです。
- グランドピアノの防音は空気の音と床からの音を意識
- 21時までを目安にしたdB・Drの考え方
- 物件別・条件別の現実的な対策と費用の目安
夜の練習は、家族や周囲に気をつかいますよね?
この記事を読むことで、必要な目安と優先順位、費用の見通しが一度で整理できます。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
さっそく始めていきましょう。
カナデルームでは、グランドピアノを演奏できる賃貸を取り揃えております!
他の楽器の演奏できるように、楽器ごとに項目もわけております。
ご希望の地域を選択の上、しっかり調べてみてくださいね!
目次
- グランドピアノの防音対策に必要な2つのポイント
- グランドピアノはどれくらい防音すれば安心?
- グランドピアノの防音対策で失敗しない進め方
- マンション(集合住宅)でのグランドピアノの防音対策
- 戸建てでのグランドピアノの防音対策
- グランドピアノの防音に関する部位別の正しい対策
- グランドピアノの防音対策費用と相場の目安
- 今すぐできるグランドピアノの防音対策
- グランドピアノの防音対策業者選びのチェックポイント
- まとめ|条件に合うグランドピアノの防音対策をおこなおう
グランドピアノの防音対策に必要な2つのポイント
グランドピアノの防音対策に必要なポイントは2つあります。
それは、
- 空気で伝わる音(空気伝搬音)を止める
- 床から伝わる振動(構造伝搬音(固体伝搬音))を断つ
です。
同じ「音漏れ」でも、通り道が違えば薬も違います。
- 空気伝搬音:窓・ドア・壁の薄い面やすき間から出入りします。
- 構造伝搬音(固体伝搬音):鍵盤やペダルの力が脚→床→梁へと広がる揺れです。特に低音(A0付近)は、空気より床経由で遠くまで伸びやすいのが曲者と言えます。
この2系統を混ぜて対策すると「窓や壁からの音漏れはなくなったが、床から音が伝わる」「床からの音は止めたが、窓から音が抜ける」といったモグラ叩きになります。
そのため、ルート別×優先度順で潰すのが合理的です。
グランドピアノやアップライトピアノの防音対策をする場合、最初に対策すると良いのは、一番遠くまで音漏れが響いてしまう床の振動音です。
構造伝搬音(床振動)の対策
- 床からグランドピアノを浮かせるか揺れを減衰させましょう。
- 振動は接点から構造へ伝播するため、脚点直下の処置が必要です。
- 例:高減衰インシュレーター/防振マット+厚手ラグの積層/防音ステージ(浮床)で床と機体を切り離し/ペダル下パッドで踏力ショックを吸収します。
- 脚・ペダル・床の3点セットで入口を遮断しましょう。
次に開口部の気密(窓・ドア)、続いて換気(抜け道)、最後に部屋の響き(壁・天井)を整えます。
空気伝搬音の対策
- 二重化+気密が王道です。
- 空気の音は、面の厚みと密閉具合で弱まります。
- 例:内窓の追加/ドアの戸当たり・ボトムシール追加/レールや框のすき間埋め/一次反射面の吸音+後方の拡散。
- 窓・ドアを“もう一枚”作る発想が最も効率的だと言えるでしょう。
どこか一か所だけ強化しても、残った抜け道が音漏れの原因になってしまい、納得できる防音対策ができない恐れがあります。
空気伝搬音と構造伝搬音(固体伝搬音)を分けて考え、原因に合う対策をおこないましょう。
グランドピアノはどれくらい防音すれば安心?
夜21時まで弾くなら「隣室や屋外で会話レベル以下に感じる状態」を目安にすると良いでしょう。
まずは、音の大きさ(dB・デシベル)と仕切りの遮音性能(Dr)を確認してみてください。
音の大きさ(dB・デシベル)に関しては室内の演奏時のdB値と、廊下・屋外・階下のdB値を比べてみるとわかりやすいでしょう。
差が大きいほど、外のほうが静かということになります。
音の大きさ(dB)の目安
音の例 | 目安(dB) | メモ |
ささやき | 約30 | 図書館くらいの静けさ |
静かな住宅地の夜 | 約40 | 深夜の屋外の静けさ |
ふつうの会話 | 約60 | リビングでの会話 |
掃除機 | 約70 | 家電の作動音 |
グランドピアノの至近演奏 | 約100 | 距離・強弱で変化 |
※数値の見方
室内75dB/廊下50dB → 差25dB。
Dr(仕切りの遮音性能)は壁・ドア・サッシなど仕切りがどれくらい空気音を軽減させられるかの目安となります。
値が高いほど、音が通りにくくなります。
仕切りの遮音性能(Dr)の目安
Drのイメージ | 体感のめやす(会話) | 注意点 |
Dr40前後 | 小さく聞こえる | 静かな時は言葉が拾える場面あり |
Dr45前後 | 聞き取りにくい | 声の存在は感じる |
Dr50前後 | ほぼ分からない | 低音の振動は別経路で感じる |
※建物・距離・残響によって体感は変わります。
なお、床から回る振動(固体伝搬)には効きにくいため、Drだけ高めたとしても静けさに直結しないことは覚えておきましょう。
また、低音に関しては床からの伝わり方が強いので、空気から伝わる音や振動音以外にも、床の防音対策を十分におこなう必要があります。
グランドピアノの防音対策で失敗しない進め方
夜9時まで弾く想定であれば、隣室や屋外で会話レベル以下を到達ラインにするのが良いでしょう。
ただ、住まいの状態によって、空気の音と床経由の振動で必要な対策が変わってきます。
まずは、どの条件に当てはまっているのかを下記で確認してみてください。
条件
1.物件の型:マンション/木造1階/木造2階/RC
2.時間帯:〜19時/〜21時(深夜は避ける)
3.全長クラス:S/M/L/XL/Concert)
クラス | 全長の目安 | 重量の目安 | 推奨する部屋 |
S | 150〜165cm | 270〜320kg | 3.5〜4.5畳 |
M | 166〜175cm | 300〜340kg | 4.5〜6畳 |
L | 176〜185cm | 320〜370kg | 6畳以上 |
XL | 186〜200cm | 340〜420kg | 6〜8畳以上 |
Concert | 200cm超 | 450〜550kg | 8畳以上(専用室) |
4.予算:数万円/〜100万/〜200万/300万以上
条件例(対策方法)
- マンション × 〜21時 × M × 〜100万
対策:床重視(インシュレーター+小型ステージ)/内窓で空気音を圧縮 - 木造2階 × 〜21時 × L × 〜200万
対策:防音ステージ+内窓全数/ドアの気密と換気の消音を追加
条件によって、どの防音対策が必要になるかが変わってきます。
カナデルームでは、安心してピアノを演奏できるよう、賃貸を取り揃えております!
希望の地域を選択して、いい賃貸を探してみてください!
グランドピアノの防音に関する部位別の正しい対策
この項目では、床や仕切り(窓・ドアなど)、換気といった箇所別の防音対策について解説しています。
部位 | ねらい(止めたいもの) | 対応策 | ワンポイント | 優先度 |
床 | 振動の断絶 | 脚下インシュレーター防振マット・防音マット+厚手ラグペダル下パッド防音ステージで浮かせる | 脚の高さをそろえる下地の水平を確認 | 最優先 |
窓・ドア | 空気の音の遮断 | 内窓で二重化戸当たり追加ドアボトムシールレールや框のすき間埋め | 引き戸・ふすまは弱点になる。鍵穴・郵便口も | 高 |
換気 | 抜け道の制御 | 給気口サイレンサーダクトに曲げ+吸音材低騒音換気扇へ交換。演奏中は弱運転 | 結露と湿度の管理を徹底。吸気・排気のバランスを考慮 | 中 |
壁・天井 | 反射と残響の整え | 一次反射点(最初に音が跳ね返る場所)に吸音パネル。後方・側方に拡散体(音を散らすデコボコ面)を設置。部屋の四隅に集まりやすい低音を緩和する(縦の隅に厚手の吸音材や筒状トラップ設置) | 吸音の入れ過ぎに注意。弾き心地を保つ配置 | 中 |
まず床で振動の道を断ち、次に窓・ドアで空気音を止めます。
そのあと、換気と壁・天井の防音対策をしましょう。
マンション(集合住宅)でのグランドピアノの防音対策
マンション(集合住宅)は規約と原状回復の制約があります。
加えて低音が床から回るため、管理規約の確認→原状回復を前提にした設計→床の振動対策を最優先の順で進めていきましょう。
空気の音は内窓や気密で抑えやすい一方、振動は下階へ届きやすいです。
まず床の防音を講じるようにしてください。
管理規約で確認する項目(申請前)
- 楽器可否・演奏時間帯
- 工事申請の要否・提出書類の内容
- 組み立て式防音室の搬入・重量・設置位置
- 原状回復の範囲(ビス穴・下地への固定の可否)
- 共用部の養生方法・搬入経路の事前連絡先
原状回復を前提にした設計のコツ
- 置き敷きの防振マット+インシュレーター中心
- 小型防音ステージで床と機体を切り離し
- 内窓は既存枠内で完結、傷防止の養生を徹底
- ブースは分解移設可タイプを選定
- 電源・換気は既存開口の活用が基本
振動対策の要点(床最優先)
- グランドピアノの脚点直下に高減衰インシュレーター
- ペダル下パッドで踏力の衝撃を吸収
- ステージでグランドピアノを床から浮かせる
- 厚手ラグの下に防振マットを積層
- 壁から数十センチ離して設置
- 下階の寝室直上はレイアウトで回避
開口部と換気の底上げ(管理会社に要確認)
- 内窓(二重化)+戸当たり+ドアボトムで気密を強化
- 給気口は簡易サイレンサーや開閉で調整
- 換気扇は低騒音タイプへの変更を検討
戸建てでのグランドピアノの防音対策
戸建ては隣家までの距離や窓の向きで外への漏れ方が変わります。
木造の場合は、床・梁を通る振動が広がりやすいです。
2階に置く場合は床の影響が強まります。
外へ出る音と床から伝わる振動を防ぎ、家のつくりに合わせて対策を施しましょう。
まずやる順番(おすすめ)
- 床の防振を強める
- 窓・ドアの気密を上げる
- 換気の音を小さくする
- 室内の響きを整える
外への音を減らすコツ
- 隣家に近い面の窓を二重化
- 戸当たり・ドアボトムですき間対策
- 勝手口や小窓の開けっ放しをやめる
- 庭の硬い塀や金属板を演奏方向に置かない
- ピアノを外壁から離す配置
床の振動を抑えるコツ
- 脚点下に高減衰インシュレーター
- 防振マット+厚手ラグの積層
- 防音ステージで床から切り離し
- ペダル下に衝撃吸収パッド
- 2階はたわみの少ない位置へ
グランドピアノを和室・2階に置く場合の防音なら追加で
- ふすま・障子の裏面に補助材
- 畳は合板ベース+防振層で補強
- 天井裏のすき間風の封止と気密の見直し
配置のコツ
- 隣家の寝室側は避ける配置
- 長手方向を窓と直交させ直進音を抑制
- 背面に本棚や拡散パネルで音を散らす
効果の確かめ方(短時間でOK)
- 測定点を固定(庭先・道路側・隣室)
- 同じフレーズ・同じ強さで演奏
- 室内−外のdB差をメモ
- 低音の残りを耳と記録で確認
予算別の初手
- 数万円:インシュレーター+防振マット+ラグ
- 〜100万:二重窓一式+ドアの気密強化
- 〜200万:小型ステージや簡易ブース併用
- 300万~:在来工法(浮床・二重壁天井・換気消音)
隣家との距離と窓の向きを確認し、二重窓と床防振を軸にして対策をおこないましょう。
グランドピアノの防音対策費用と相場の目安
「できれば大規模な防音工事をおこなってピアノを設置したくはない」
「予算は〇〇万円まで」
それぞれ、そういった制約が存在しますよね。
この項目では、グランドピアノの防音対策にかかる費用と相場について詳しく解説します。
費用の内訳
- 製品代:内窓、防振マット、インシュレーター、防音ステージ、ユニット防音室
- 施工費:取付・調整、養生、既存部材の処分
- 設備費:換気の消音、電気配線・コンセント
- 付帯費:搬入、家具移動、諸経費
予算帯 | 主な内容 | 想定シーン |
数万円 | インシュレーター/防振マット/厚手ラグ/窓すき間テープ | 戸建1階や昼間に練習する場合など |
〜100万 | 内窓一式/ドア気密(戸当たり・ボトム)/小型ステージ/簡易サイレンサー | ピアノをマンションで夜〜21時まで練習する場合など |
〜200万 | 組み立て式防音室(小〜中)/床強化/電気・換気の整備 | グランドピアノの防音室レンタル・移設なども視野に |
300万〜 | 在来工法(浮床・二重壁天井・換気消音)/調音 | 専用室や2階・大きめ全長クラスの場合など |
価格は部屋の広さ・建材・搬入経路・希望性能で上下します。
同じ場所で、室内と室外のdB差を記録し、効果が足りなければ一段階上の防音対策を講じましょう。
マンションは原状回復や申請を前提に、戸建は窓の向きや隣家距離も踏まえて対策するのがベストです。
今すぐできるグランドピアノの防音対策
「あまりお金をかけずに防音がしたい」という場合、工事なしでも工夫次第でグランドピアノの防音対策ができます。
今日から試せるそれらの方法についてご紹介します。
床まわり(振動を止める)
- 脚下インシュレーター設置
- 防振マット+厚手ラグの二重敷き
- ペダル下パッドで衝撃の吸収
- 本体を壁から15〜30cm離す
窓・ドア(音の出口をふさぐ)
- すき間テープで気密アップ
- ドア下ドラフトストッパー
厚手カーテンを床ぎりぎりで掛ける - 郵便口・鍵穴まわりの簡易シール
部屋の響き
- 背面に本棚配置(段差で拡散)
- 鏡で見つけた一次反射点へ薄型パネル
- 部屋の角にクッションや丸めた毛布
弾き方・時間の工夫
- ふたを閉める/弱音ペダルを使う
- 強い打鍵は控えめにする
- 夜は短時間×小分けで練習
- サイレントや電子との併用
効果の確認(かんたん)
- 同じ曲・同じ強さで試奏
- 室内と廊下の音量差を確認
小さな対策であっても、積み重ねることで効果が感じられるでしょう。
グランドピアノの防音対策でやってはいけないこと
筋違いの対策・家の制約無視・検証なしの買い足しは避けるようにしましょう。
以下が、やってはいけない例です。
- 床を無視して壁だけ吸音対策する
- 引き戸・ふすまのすき間を放置
- 換気口を完全にふさぐ(結露・空気の質が悪化)
- 測定なしで製品を次々追加する(コスト増)
- 管理規約や申請の確認抜きで着手
- 荷重や搬入経路の計算抜きでブース導入
- ドア下のすき間や郵便口の処理忘れ
- 低音対策前に吸音材を貼りすぎる
床の振動を断たないまま壁面だけ触っても低音の道は残りますし、換気を止めると音は減っても暮らしの質が崩れてしまうでしょう。
また、規約違反や荷重超過はトラブルの元です。
これらの注意点を確認した上で、グランドピアノの防音対策をしてください。
グランドピアノの防音対策業者選びのチェックポイント
数字と事例で判断し、契約条件を明文化できる業者を選ぶ、です。家の条件で効き方が変わるため、実測に強く、段取りが明快な相手が安心です。
見るポイント | 確認の仕方(例) | OKのめやす |
実測データ | 室内と外のdB差やBefore/Afterのグラフは見られますか? 測る場所も同じですか? | 同じ場所・同じ条件で2回以上測定、差の数字を提示 |
似た家の事例 | 家の作り・階・畳数・全長クラス・時間帯が近い事例はありますか? | 写真+数字+到達イメージのセット |
目標の数字 | 目標は室内−外のdB差で何dBですか? 測定のタイミングは決められますか? | 目標と測定計画を書面で共有 |
図面と材料 | 図面・断面・材料名・厚み・設置位置は見積に入りますか? | 見積に図面と材料リストを添付 |
お金の内訳 | 製品代/施工費/設備費/搬入養生/諸経費を分けて出せますか? | 項目別に金額を明記 |
追加費用 | どんな時に追加費用が出ますか? 単価は決まっていますか? | 条件と単価を事前提示 |
保証・手直し | 効果が足りない時の手直し方法・期限は決まっていますか? | 契約書に手直しの基準と期限を明記 |
荷重・搬入・原状回復 | 床の許容荷重・搬入経路・固定方法・元に戻す手順は確認済みですか? | 計算の根拠と手順を提示 |
規約と申請 | 管理規約の確認・申請の書類・工程表・連絡先は整いますか? | 申請のサポートや代行に対応 |
換気・電気 | サイレンサー・給排気の経路・コンセント位置はどう設計しますか? | 通気と静けさを両立する案を提示 |
調音の提案 | 吸音と拡散の配置で、弾き心地はどのくらい保てますか? | 吸音の入れ過ぎを避けた配置案 |
体験の場 | ショールーム試奏や効果デモはありますか? 持参物は何ですか? | 実機で体験できる環境を用意 |
- 同じ条件(部屋寸法・窓数・全長クラス・時間帯)で3社に依頼して比べてください。
- 合意した目標dB差・測定計画・費用内訳・手直し条件は書面に入れてください。数字と書面で見比べると良いでしょう。
実測・近似事例・内訳・保証・規約対応の5点を満たす業者を選ぶのが堅実です。
書面で抜け漏れを防ぎましょう。
まとめ|条件に合うグランドピアノの防音対策をおこなおう
- 音の道は空気の音と床の振動の2つ。対策する順番は床→窓ドア→換気→壁天井
- 目安は会話がふつうにできる静けさ。室内−外の音の差をメモして確認
- マンションの場合は規約と原状回復を守り、まず床。グランドピアノの防音対策として、一戸建ては窓の向きと隣家との距離も意識
- 予算は段階的に。まずインシュレーター+防振マット、次に内窓、必要なら防音ステージや防音部屋
- NGは床無視の吸音だらけ、換気口ふさぎ、測定なしの買い足し
楽器可の物件にお住まいであっても、ピアノを演奏する場合には、演奏する時間帯や演奏の音量に気をつけるなど、近隣への配慮と演奏の工夫が必要です。
生活を豊かにするはずの音楽が、他の方にとって快適な生活を損なうものになってしまわないよう、お住いの地域・お部屋などに合わせて、無理のない音楽生活を送りましょう。