楽器の音はどこからが騒音になる?まずは住まいにおける音の環境基準値を知っておこう

時と場所はもちろん、音楽のジャンルや楽器の種類によっても、心地よく感じたりただの騒音にもなってしまう音楽や楽器の音。ではそもそも、騒音とはどのくらいの音のことを指すのでしょうか?

まずは、国で定められた環境基準値や日常の音から「騒音」について調べてみました。

環境基準法で定められた住まいの音の基準値

人間には心身ともに健康に暮らせる環境が必要です。なかでも「住まい」はもっとも重視すべきものと言えるでしょう。環境省では以下のように、環境基本法に基づいた騒音にかかる環境基準を地域の類型で定め、国民の健康保護に資しています。

地域の類型と音の環境基準値(※db:デシベル)

 

昼間
(6~22時)

夜間
(22~6時)
療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域 50db以下 40db以下
住居専用、または主として住居に供される地域 55db以下 45db以下
相当数の住居と併せて、商業、工業等に供される地域 60db以下 50db以下

各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長)が指定しています。また、道路に面する地域や幹線道路近辺は別の基準値(以下)が定められているのでご注意ください。詳しくは、環境省騒音に係る環境基準についてをご覧ください。

道路に面する地域・幹線道路に近接する地域の音の環境基準値

 

昼間
(6~22時)

夜間
(22~6時)
2車線以上の車線を有する道路に面する地域 60db以下 55db以下
2車線以上の車線を有する道路に面する地域、及び、車線を有する道路に面する地域 65db以下 60db以下
幹線交通を担う道路に近接する空間※ 70db以下 65db以下

※個別の住居等で主に窓を閉めた生活をする場合は、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間45デシベル以下、夜間40デシベル以下)によることができる。

また、デシベル値の目安は、環境省「都心・近郊の騒音の目安について」(以下)をご参考ください。

楽器の音はどのくらいの騒音レベルになる?

では、私たちの暮らしの中で発生する日常の生活音は、どのくらいの音なのでしょうか?以下は、環境省「近隣騒音について」の資料「生活騒音の現状と今後の課題」にある生活音の騒音レベルを大きい順(最高値を基準)に並べてみたものです。

生活騒音の騒音レベル

楽器 騒音
※騒音レベルの決定方法は、時間的にほぼ一定な場合ではほぼ一定とみなせる定常値を、時間的にゆるやかな変化をする場合ではその最大値を、変化の大きな場合では最大値から5db小さい範囲内のピーク値を取りそのピーク平均値を騒音レベルとした。

ピアノや電子オルガンは、いずれも高い騒音レベル。人が非常にうるさいと感じる音の大きさは80デシベル以上と言われているため、楽器の音はそのままでは騒音となってしまうといえるでしょう。

住まいの壁などの遮音効果で生活音や楽器の音は軽減される

以上の騒音レベルは音の発生源のすぐ側で計測されたものです。ですから、これらの音が隣家などへ聞こえる際は、自宅や自室の壁や床、隣家の壁や床が間に入るため何デシベルか軽減されて聞こえます。

この音の軽減、つまり建物の遮音・防音効果は、当然、建物の構造や音の発生源と聞こえる場所の位置関係によって違ってきます。次回は、建物の遮音・防音効果の基準値などを中心に、楽器の音がどの程度まで軽減され、騒音になるのかどうかを調べてみましょう。

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編集部 中根
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