【山本拓矢インタビュー】メロディの邪魔をしないスネアの音、シンバルの音がある。ドラムをあまり意識させないことも大事

⽇本の⾳楽シーンを⽀えるミュージシャンを「カナデルーム」がご紹介するPLAYERʼS FILE。第6回⽬は、若⼿⼈気ジャズバンド bohemianvoodoo(ボヘミアンブードゥー)のドラマー、⼭本拓⽮さんです。

ボヘミアンブードゥーは、最新アルバム「echoes」がNISSAN PRESENTS JAZZJAPAN AWARD 2017でアルバム・オブ・ザ・イヤー〜ニュージャズ部⾨を受賞した今注⽬のバンド!今回は⼭本さんに、どんな⾳楽を聴き、どんな練習をしてドラムの腕を上げていったのかお聞きすることができました。

また、「リズム&ドラムマガジン」でのライターやドラムテックなど、ドラム専門家としての顔を持つ山本さんに、ドラムのチューニングやメンテナンス、電子ドラムや防音楽器選びのアドバイスもいただきました!

中学吹奏楽部で始めたドラム。ひたすら一つ打ちをやった

──ドラムを始めたのはいつですか?

中学生からです。入学式で吹奏楽部の「風になりたい」を聞いて、“ドラムやりたい!”と吹奏楽部に入部しました。ピアノはやっていなかったので、スタートがドラムでした。

──練習内容や練習量はいかがでしたか?

はじめは練習台を置いてひたすら一つ打ちからやりました。次はチェンジアップという音符の割り方の練習。1拍のなかで四分音符、八分音符、三連符と増やしていく練習です。コンクールにバリバリ出るような部だったので、練習は朝9時から夜の9時までみっちりやりましたね。

家では電子ドラムを買って叩いていました。部活で練習して帰って電子ドラム叩いて。一軒家でしたが、たぶん大丈夫ではなかった(笑)。電子ドラムのシンバルパッドが練習しすぎて割れましたから。家族には“夜寝る時間にはやめて”って言われました(笑)。

山本拓矢 ドラマー ボヘミアンブードゥー
スナッピーを交換する山本さん。

「リズム&ドラムマガジン」からフュージョンやジャズの世界へ

──フュージョンやジャズはどこから入っていったのですか?

吹奏楽部の頃に「リズム&ドラムマガジン」を買うようになり、おすすめディスクを買ってみたらそれがフュージョン系でした。“ああ、ドラムかっこいいな”と。そこからいろいろ聴き出しましたね。

──その頃ハマったのは…?

チック・コリアのバンドでドラムやっているデイブ・ウェックル。この人のソロアルバムはたくさん聞きました。高度すぎて何をやっているのか想像できないので、“ここに至るまではものすごく時間がかかるのだろうな”と思いましたね。

──そうなると、フュージョン系をやりたくなってレッスン受けたりも…?

レッスン受けたのは高校生からです。中学吹奏楽部の講師…後に新日本フィルのティンパニ主席になる人ですが、その方に紹介してもらったドラマーに習い始めました。当時はほとんど練習しかしてなったですね(笑)。部活で練習して、帰って電子ドラム叩いて。

──高校の部活動は?

軽音楽部…みたいな(笑)。あまりに部員がいないから勝手に練習する部でしたね。

──高校生の時はどんな音楽聞いていたのですか?

入口がフュージョンだったので、遡ってジョン・コルトレーンとかマイルス・デイヴィスとか。ウェザー・リポートを聴いていた期間が一番長いんですけどね。

──ウェザー・リポート からエルヴィン・ジョーンズですか?

エルヴィン・ジョーンズも好きですね。ジャック・ディジョネットのほうがさらに好きですが…。ちゃんと録音が残ってていまも聴けるドラマーはみんな素晴らしいと思います。個人的な好みで言えば、ウェザーでは圧倒的にピーター・アースキンですね。

初めてのバンド練習でバスドラの弱さに気づく

──バンド活動は高校時代から始めたのですか?

はい。ミクスチャーロック系バンドのサポートをやっていました。そういえばバンドを始めて、自分のバスドラが弱いことに気が付きました。タイミングは合っていても音が出なかったですね。

最近の電子ドラムは進化してタッチに合わせて音が変わってくれますが、やっぱり生の楽器を通ってからじゃないと難しい。このタッチでこの変化が来るっていうのが身につかないですね。

──というと、電子ドラムで練習しないほうがいいですか?

家でドラムの練習したい人が電子ドラムを買う場合、高級モデルではなく安価なものでいいと思っています。パットがドラムセットの形になっていて、それだと飽きるから音出るとちょっと楽しい程度で。高級電子ドラムを買うより、その差額でスタジオ行ってドラム叩いたほうがいい。

安いものでも、ヤマハ、ローランドだったら大丈夫です。

──ほかに、家での練習用におすすめのものはありますか?

ジルジャンの小音シンバルがよかったです。叩いたときに楽器がどう振動してこういう音がしているんだ、というのがわかる。おすすめです。

Zildjian(ジルジャン)の小音シンバル「L80-Low-Volume-Cymbal-Sets」

また、床への振動を抑えるスタンドとパッドのセットなどもよかったです。

白井式のスネアスタンドとパッド。

セッションでミュージシャン・ネットワークを広げた

──お話から山本さんは様々なジャンルに興味を持っていたのが見えてきました。

そうですね。やるからには食えるようにならなきゃと様々なジャンルに手を出していました。「リズム&ドラムマガジン」からスタジオミュージシャンという仕事を知って、いずれは僕も…と思っていましたし。

──スタジオミュージシャンが目標だったのですね。高校卒業後は?

音楽専門学校に入学したのですが、講師に「スタジオミュージシャンって職業はもうないから」っていわれました。当時はCDの売り上げが下り続けている真っ最中でしたから。

──専門学校の講師がそこまでいうんですね。そのときの心境は?

やっぱり埼玉は情報が遅れてたんだ(笑)、と。何か新しいことをやらなきゃいけないだろうなって。そのあたりから、今やっている人たちをよく聴くようになって、バンドもいくつか始めました。“これからはライブだ”と言われたので、渋谷のPLUGとかTHE ROOMのセッションにも行きましたね。バンドメンバーの木村イオリさん(P&Key)やbashiryさん(G)ともジャムセッションで知り合いました。

──なるほど。セッションでミュージシャン・ネットワークを広げていったのですね。

山本さんお気に入りのBilly Gladstone復刻版スネア。

メロディの邪魔をしないスネアの音、シンバルの音がある

──ところで山本さんはドラムテックもこなせるそうですね。たくさんのドラムを持っていてチューニングもできるということから“音へのこだわり”が強いドラマーだと感じました。そんな山本さんからドラム初心者にアドバイスはありますか?

ドラムのチューニングはピアノの調律に近く、絶対的な正解もないので戸惑うことも多いと思います。僕は楽器を始めた当初からチューニングと向き合って、音ありきで解決方法をいろいろ探っていくうち身に付きました。
 
スナッピー交換の様子

初心者はドラムをひたすら触るというのが大事です。音を聴いてチューニングを覚える必要を感じるかどうかなんですね。ドラムはどんな楽器でも“俺の音が出るぜ”っていうのが許される楽器なので、プレイをやりたければ突き詰めてやって、チューニングはできる人に任せればいい。

でも、シンプルなプレイのドラムがいいと思ったら、なんでいいと思ったんだろう?音とグルーヴじゃないか?だったら音はやったほうがいいよねってことになる。

“音がいい”ことはもちろんだけど、“あまり意識させない”っていうところも大事だったりします。メロディの邪魔をしないスネアの音、シンバルの音っていうのがあります。

──深いですね。最後に、ボヘミアンブードゥーの活動について教えてください。

基本的に音源(CD)をつくってライブをやって。フュージョンとかジャズに憧れてテクニックを積み重ねてきた僕にとっては、これらをフルに使えるバンドですね。

──曲はどのようにつくりあげているのでしょうか?

メンバーが持ってきたデモをアレンジしてスタジオで完成させていくスタイルです。メンバーは僕がどんなドラムを叩くかわかってデモを持ってきますが、たまに全然できないことが入っていることも。それはがんばるっていう(笑)。

──2019年のリリース、ライブの予定は?

もう少ししたらお知らせできることがあるので、ぜひ、ボヘミアンブードゥーウェブサイトをチェックしてください。

──楽しみですね。本日はありがとうございました!

この記事を書いた人

編集部 中根
編集部 中根 さん

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