ミュージシャンはスタジオではなく自宅で録音する時代に
プロのミュージシャンといえば、大きなスタジオで一流のミュージシャンと共にヘッドホンをしながら一緒に演奏をし、一流のエンジニアが録音し音をミックスしていく作業を思い浮かべませんか?
実は、最近はそういった現場は減る一方なのです。
スタジオで録音するのはドラムだけであとは各プレイヤーの自宅、ミックス作業もエンジニアの自宅で行うというのが最近の主流です。一見なんとも味気ないのですが、現代ではそれで一流の音を録音することができてしまいます。
音楽業界の不況とレコーディング
CDが売れない時代となって久しいです。
オリコンのデータによると100万枚以上のシングル盤のミリオンヒットが1990年代では100枚以上、2000年~2005年は約20枚出ています。
ところが2006年~2010年だと数枚しか出ていません。急激にCDが売れなくなったのです。1998年に音楽ソフト生産実績が6,000億円を超えていたのが、2017年では2,000億円程度なのが現状です。
最も打撃を受けたのがレコード会社で、アーティストにかけられていた音楽制作の予算が大幅に削られるようになりました。
経費の掛かるレコーディングスタジオ代やスタジオミュージシャン代が削除されるようになったのです。
レコーディング機材の技術革新によってPro Toolsなどに代表されるDAWソフトによって、大きなミキサー、エフェクター、録音機材などが必要なくなったこともこの時期と重なっています。

最近のプロミュージシャンのレコーディング事情
プロミュージシャンは、作曲家が作ってきたデモをもとに、バンドまたは編曲家がアレンジを行います。それを基にPro Toolsなどに楽曲のコード進行の分かるバッキングトラックをクリックに合わせ録音します。
バンドの場合はドラマーがクリックに合わせて叩き、ベースやリズムギターなどがリズムトラックを録音します。クリックを使わずにリズム隊を録音していく場合もあります。
すこし前まではバッキングトラックを基にレコーディングスタジオでドラム・ベース・ギター・その他楽器をPro Toolsに音をパラ(個別)に録音し、ボーカルを重ねてミックス迄行っていました。
しかし、各プレイヤーがDAWソフトを持っている最近の環境では、自宅で音を録音し、そのデータをファイル送信ソフトで共有して音を重ねていく手法が主流となってきています。
プロの現場では、ドラムとボーカルのみはまだレコーディングスタジオを利用するケースが大半です。
最近のインディーズ・ミュージシャンのレコーディング事情
インディーズ・ミュージシャンにとって、ライブでの動員を増やすこと及び音源を購入してもらうことは重要です。
そのための音源制作はとても重要なのですが、かけられる予算が少ないということが一番の課題です。
とはいえリハーサルスタジオで一発録りではクォリティの問題が出てくるため、インディーズでもDAWソフトを使うことが主流となってきています。
インディーズの場合は、ドラムがメンバーにいるバンド以外はドラムの音も全てDAWソフトの音源を使うことが多く、ほぼメンバーの自宅のみでレコーディングするパターンが主流となってきています。

コロナ禍によって変わる音楽業界
CDが売れない時代ではライブ・コンサートに音楽ビジネスの主流が変わってきており、ライブのプロモーションのために音源を発表してライブで利益を得るという図式となっていました。
それが2020年は新型コロナウイルスによりほとんどのライブができなくなりました。10月ごろになって少し有観客ライブができるようになってきましたが、収益を生むレベルには戻っていません。
そこで注目され始めたのが配信ライブです。それまでも有観客ライブの補助的に行われていましたが、ほとんどのライブで配信が行われるという時代になっています。
YouTube Liveやツイキャスなどで手軽に配信ができるようになったこともあり、シンガーソングライターがギターやピアノと共に自宅から配信するケースも増えています。
自宅での録音のメリットとデメリット
自宅での録音は低予算で素早くレコーディングできるのが最大のメリットです。特にアレンジを考えながらレコーディングする場合は、時間料金を気にせずに行える自宅は最高の制作環境とさえ言えます。
デメリットは歌や生楽器の音量の問題です。
特に音量があるのが、サックスなどの管楽器、アコースティックギター、ボーカルです。何の防音対策もしていない部屋では音漏れによる近隣トラブルが起きやすくなります。
ちなみにエレキギターやベースはDAWソフトのアンプシミュレーターで音が再現できますのでヘッドホンで対応できます。
ドラム自宅録音の魅力と限界
ドラムは練習に時間がかかることや良い音で録音するにはコツが必要ですので、実は一番自宅で行いたいものです。
ただし、実際問題としてドラムは自宅録音することが最も困難な楽器です。
音の大きさだけでなく、バスドラの発する低音周波数の問題、キックペダルを踏みこむ音が建物の躯体を通して他の階に振動が伝わってしまう問題があります。
冗談ではなく、ドラマーが自宅で練習をしたら通報され警察が来たという話もあります。
クラシック奏者の自宅録音事情
クラシックも同じくコロナ禍により有観客でコンサートを開催するのが難しくなってきており、演奏者が自宅で演奏をして自身のYouTubeチャンネルで公開・配信するケースが増えています。
とはいえ、管楽器などは構造上、小さな音量で演奏することが難しく、しっかりとした防音のある建物や部屋でないと安心して演奏できない状況です。
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まとめ
自宅から気軽に音楽を配信できることや本格的なレコーディングができる今は、ミュージシャンにとって手軽に発信できる時代です。
しかし、良い音で演奏し録音・配信するにはしっかりと生音が出せる環境が大事です。
そのためにも、防音性能のしっかりとした建物を選ぶようにしましょう。
執筆者プロフィール
尾嵜 豪
不動産コンサルタント
不動産コンサルティングマスター、FPを持つ宅地建物取引士としてお客様に最も喜んでいただけるように数多くのプロとしての提案をさせて頂いております。
特に富裕層の個人のお客様及び法人のお客様、個人事業主の為に、都内マンション、一戸建て、居住用物件、事業用物件、投資用物件を多数20年以上にわたって仲介してきた実績があります。
都内近郊でのビル用地取得~設計~建築~テナントづけ~管理までの総合プロデュースの実績があり、企業の不動産顧問をしております。
都内タワーマンションや海外不動産を交えた豊富な実績とグローバルな視点でのお手伝いに長けております。
不動産に関する著書があります。またYahoo、幻冬舎、ZUU、不動産投資の教科書、トチカム他多くの媒体にコラムを執筆しております。