音楽生活に役立つ防音グッズをご紹介。今回ピックアップするのは「消音楽器」や「サイレント楽器」と呼ばれる、自宅での演奏に便利な楽器や防音グッズです。
この記事では数々の消音楽器・防音グッズを開発・販売している楽器メーカー・株式会社KORG(コルグ)の消音システム担当・関晋一さん、営業部門責任者の岩崎範男さんに伺ったお話を交えて、消音楽器や防音グッズをご紹介します。
また、今回は特別に、インタビューさせていただいたコルグさんのご提供で、KORG製品の読者プレゼントを行います!記事の最後に応募ページへのリンクがあるので、ぜひご応募ください。
第2回:「【エレキ・ギター/ベースの防音対策】 本格アンプサウンドが部屋で楽しめるVOX・amPlug2(アンプラグ2)をご紹介&プレゼント!」
第3回:「家でドラムを練習しよう!日用品がドラムセットに大変身するKORG・CLIPHIT(クリップヒット)をご紹介&プレゼント!」
※2018年8月12日をもって、プレゼントの応募受付を終了いたしました。ご応募いただいた皆様、ありがとうございました。
賃貸マンションで思いっきりピアノを弾けていますか?
賃貸マンションのお部屋でピアノを弾くときには、音の大きさやピアノを弾く時間帯など、近隣の方への配慮が必要です。
しかし、学校や仕事のある方が平日にピアノを弾けるのは夜の時間帯がほとんど。「今日は家に帰ったらピアノを弾きたい!」と思っても、騒音トラブルを気にして、気軽にピアノを弾けないという方も多いのではないでしょうか。
また、以前からご家庭で大切に弾いてきたピアノを、お子さんやお孫さんに譲って使ってもらいたいという方は多いそうですが、お子さんやお孫さんのお部屋が自由にピアノを弾ける環境とは限りません。
そんなピアノのお悩みを解決するのが、今回ご紹介する「コルグ・ハイブリッド・ピアノ(以下、KHPシリーズ)」のピアノ消音システムです。
自宅のアコースティック・ピアノを消音ピアノに変身!
コルグが開発したKHPシリーズは、消音レバーが付いた音源ボックスをご自宅のピアノに装着して使用します。鍵盤の下には鍵盤のタッチを読み取るセンサーを設置します。演奏時のタッチを読み取って音源ボックスに送ることで、ボックスに繋いだヘッドホンからピアノの音を聴くことができます。
音源ボックスの切り替えレバーで、通常のピアノ(生音)とデジタルピアノをワンタッチで切り替えできます。元のピアノの機能は残したまま、デジタルピアノの機能を後から追加するイメージですね。
市販のデジタルピアノとの大きな違いは、KHPシリーズではご家庭で慣れ親しんできたピアノのタッチを残すことができるという点です。KHPシリーズでは、鍵盤に繋がったハンマーがピアノ線を叩く直前(ほんの数ミリ)で止めることで、しっかりとした消音と自然なピアノタッチを実現しています。
KHPシリーズの開発を担当した関さん曰く「ハンマーを止める位置がほんの数ミリ変わるだけで鍵盤のタッチに大きく影響するため、何度も微妙な調整を重ね、試行錯誤の末に現在の仕様にたどり着いた」そうで、ピアノタッチを損なわない消音機能の開発には大変苦労されたそうです。
光センサーで実現した豊かな音の表現力
関さんのお話によると「消音ピアノが世に出てきたばかりの頃は、鍵盤がレバーに当たることで鍵盤の動きを読み取る接触型のセンサーが主流でした。しかし、鍵盤がレバーに当たった際の感触演奏に違和感があることが多く、読み取りの精度も高いとは言えなかった」そうです。
そこで、コルグのKHPシリーズでは、近年の消音ピアノの主流となっている完全非接触式の光センサーを採用。センサーを設置しても鍵盤の動きを妨げることがないため、取り付け前と鍵盤のタッチが変わらないのが特長です。
センサー設置の際には、鍵盤の裏面に厚さ1mm以下の”スペシャルシート”を貼ります。センサーが鍵盤に貼られたシートに反射した光を感知して、鍵盤の動きを高い精度で読み取ることで、スムーズな音源化を可能にしています。鍵盤の裏にシートを貼るだけなので、ほぼ全てのピアノの機種に対応できるそうです。
ピアノの音色は2種類。エレピやオルガンなどの音色も内蔵
KHPシリーズに内蔵されているピアノの音色は2種類。世界的に普及している華やかなグランド・ピアノの音色と、日本ではなじみ深いアップライト・ピアノの丸みのある音色です。
ピアノの音源は鍵盤を弾く強さによって2〜4段階に分けて音色が収録されているため、ピアニッシモからフォルテッシモまで、タッチの強弱による微妙な音の違いをなめらかに表現することができます。(※収録音数は機種によって異なります。)
鍵盤のセンサーに加えて、ペダルの動きを感知するセンサーも設置するため、消音していてもペダルを使用した演奏をすることができます。
また、エレクトリック・ピアノやパイプ・オルガン、ストリングスなどピアノ以外の音色を出すこともできるので、様々な音色での演奏を楽しめます。ずっと使ってきたピアノから新しい音が出てくるのはとても楽しそうですし、曲にあわせて音色を変えてみたりすると演奏の幅が広がりそうですね。
その他にも、音源ボックスに内蔵されたメトロノームで、リズムをとりながらの練習が可能です。演奏の録音機能も備えているので、自分の弾いたフレーズを録音・再生して確認できるのも便利です。(一部機種を除く)
KHPシリーズの展開は3モデル。初心者から上級者までをしっかりカバー
KHPシリーズには「KHP-300」、「KHP-2000」、「KHP-5000」の3種類があります。
KHPシリーズのモデルと機能一覧
機種 | KHP-300 | KHP-2000 | KHP-5000 |
対応ピアノ | アップライト・ピアノ | アップライト・ピアノ | グランド・ピアノ |
本体価格 | ¥65,000 | ¥120,000 | ¥280,000 |
取付費・調整費込みの価格(目安) | 約10万円前後 | 約15万円前後 | 約30万円前後 |
音色 | 10音色 | 8音色 | 8音色 |
エフェクト | リバーブ、コーラス | リバーブ、ブリリアンス(各3段階) | リバーブ、ブリリアンス(各3段階) |
レコーダー | ー | ◯ | ◯ |
メトロノーム | ー | ◯ | ◯ |
内蔵デモ曲 | 全10曲 | 全10曲 | 全10曲 |
タッチ・コントロール | 3段階(軽め/標準/重め) | 3段階(軽め/標準/重め) | 3段階(軽め/標準/重め) |
ピッチ・コントロール | ◯ | ◯ | ◯ |
キー・トランスポーズ | ◯ | ◯ | ◯ |
ペダル | ダンパー、ソフト(ハーフ・ペダル対応、ピアノ1、2音色のみ対応) | ダンパー*、ソフト*(*ハーフ・ペダル対応) | ダンパー*、ソステヌート、シフト*(*ハーフ・ペダル対応) |
オーディオ端子 | ヘッドホン x 2(出力端子兼用) | LINE OUT(ステレオ・ミニ・ジャック型)、ヘッドホン x 2 | LINE OUT(ステレオ・ミニ・ジャック型)、ヘッドホン x 2 |
USB端子 | ー | USB 1.1対応 | USB 1.1対応 |
MIDI端子 | ー | ◯ | ◯ |
スピーカー | ー | ー | 5W x 2(バスレフ方式) |
付属品 | AC アダプター、ヘッドホン | ヘッドホン、ACアダプター、設定用CD ROM | ヘッドホン、ACアダプター、設定用CD ROM、モニター・スピーカー |
KHP-300は、とにかくピアノを消音にしたいという方向けに、機能を絞ることでコストダウンを実現した初心者向けモデル。KHP-2000とKHP-5000はより細かな調整ができ、音の表現力の質を高めた中上級者向けモデルです。KHP-2000とKHP-5000はヘッドホン以外のライン出力やMIDI出力の機能も備えているため、スピーカーにつないで音を出したり、パソコンにつないでのレコーディングや曲の採譜に使うことができます。
営業部門の責任者を務める岩崎さんによると「はじめは安価で初心者向けのKHP-300を選ぶ方が多いものの、演奏しているうちに、もっと良い音質で演奏したくなる方が多いので、なるべく初めから中上級者向けのKHP-2000を導入することをお勧めしている」そうです。
ピアノ購入時にセットで購入・設置するとお得!グランド・ピアノへの設置も多数
岩崎さんのお話では、「近年のアップライト・ピアノの中古価格は30万円ほどですが、例えばKHP-2000を取り付けて調律や工賃も含めて購入すると、お店によってはセットの価格が35万円くらいになります。後からKHPシリーズを購入・設置した場合、別途工賃がかかることを考えると、ピアノの購入時にセットでKHPシリーズを注文した方がお安く設置することができます」とのこと。
グランド・ピアノを購入される方の中には防音室を持っている方もいますが、ピアノとは違った音色でも演奏できるところに魅力を感じてKHPシリーズを購入されるユーザーさんも多いそうです。特に、作曲・編曲をされる方には、パソコンにつないでデータを作ることができるMIDI機能が好評で、弾いた音をパソコンに取り込むことで楽譜を作ることもできます。
グランド・ピアノでの防音性にも優れており、先日は著名な作曲家の方のグランド・ピアノにKHP-5000を取り付ける機会があったそうですが、「これで夜中もピアノが弾けるわ!」と大変喜ばれたそうです。既に防音室などをお持ちの方にも、もう一歩先の防音対策の選択肢としておすすめです。
調律師認定制度とコルグの品質へのこだわり
KHPシリーズの購入後、ピアノへの取り付け作業は全国の調律師さんが行います。ただし、自然な鍵盤のタッチにするための精密な調整が必要になるので、コルグではKHPシリーズの取り付けに認定制度を設けているそうです。
毎年、全国の調律師さんに向けたセミナーを行い、セミナーの受講者の中でも一定の水準をクリアした調律師さんだけが、「コルグの認定技術士」としてKHPシリーズの取り付け作業を行うことができます。現在は全国およそ400人以上の調律師さんが認定を受けているそうです。
消音ピアノを導入して防音対策。お部屋で気軽にピアノを弾こう
ここまでご紹介してきたように、コルグのKHPシリーズを使うことでピアノの防音対策をすると同時に、高い品質でピアノ演奏を楽しむことができます。
「音を消す」、「センサーで鍵盤の動きを読み取る」、「演奏に合わせて音源を再生する」という基本の3機能に加えて、「ピアノ以外の音色で演奏する」、「メトロノームを鳴らす」、「自分のフレーズを録音・確認しながら練習する」、「MIDIで出力して採譜やレコーディングを行う」とったの便利な機能が盛りだくさんなので、普段のピアノ演奏の幅を広げてみたいという方にもおすすめです。
KHPシリーズの購入、取り付けは全国の取扱店にお問い合わせを
KHPシリーズは、全国の取扱店で購入や取り付けを依頼できます。製品に興味をお持ちの方は各取扱店のリンクからお問い合わせをしてみてください。
消音ピアノの説明動画(2009年当時の物で、現在の製品の仕様とは一部異なります。)
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PROFILE & INFORMATION
株式会社コルグ(KORG)
1963創業の楽器メーカー。一貫して電子楽器の製造に取り組み、日本でのシンセサイザー開発をいち早く手がけるなど、独創性と確かな品質に定評がある。特にシンセサイザーにおいては、その高いサウンド・クオリティー、機能性で国内外のトップ・ミュージシャンをはじめ、多くの音楽ファンの支持を集めている。 KORG(Japan) コルグ・ハイブリッド・ピアノ